当社AIチャット相談の2025年度データを分析。相談の74.3%が恋愛・夫婦関連、夜の21時台にピーク
東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部は、当社が運営するAIチャット相談サービスの2025年度(2025年4月〜2026年3月)利用実績を分析しました。年間832件の相談のうち、74.3%が恋愛・夫婦に関する悩みで占められ、利用のピークは退勤後の21時台に集中していました。この結果は、従業員が職場でも家庭でも口にできない悩みを抱えたまま働いている実態を示しています。当社SMB事業部では、この知見を小規模事業者・フリーランス・働く人に向けた職場メンタルヘルスサービス「WorkMind」の設計に反映してまいります。
データの背景
当社「恋愛と夫婦の悩み相談センター」が運営するLINEで使える無料AIチャット相談の利用ログを集計しました。このサービスは恋愛・夫婦の悩みに特化したAIチャット相談ですが、相談の時間帯分布には夜間のピークが明確に現れており、働く人の利用が示唆されています。
- 集計期間:2025年4月1日〜2026年3月31日(2025年度)
- 比較期間:2024年4月1日〜2025年3月31日(2024年度)
- 集計対象:相談832件/利用者328人(重複を除いた人数)
- 出典:東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部(恋愛と夫婦の悩みAIチャット相談 利用実績データより集計)
1. 職場では見えない悩みが、AIには届いている
年間の相談件数は832件で、前年度の161件から5.2倍に拡大しました。注目すべきは、相談内容の74.3%が「恋愛の悩み」(57.6%)と「夫婦・パートナーの悩み」(16.7%)で占められている点です。
恋愛・夫婦の悩みは、職場のストレスチェックや上司との面談では拾えません。しかし、集中力の低下、睡眠の質の悪化、突発的な欠勤、離職意向の高まりといった形で、確実に職場パフォーマンスに影響を与えます。従業員が抱えている悩みの本当の内訳は、企業の人事部門からは見えていない可能性があります。
2. 夜の21時台にピーク — 「持ち帰る悩み」の実態
相談の発生時刻は20時(88件)・21時(106件)・22時(87件)にピークを形成し、21時台が年間最多でした。深夜帯(22時〜翌4時台)の利用も全体の25.0%を占めています。
この時間帯分布は、悩みが「勤務時間内に解消されていない」ことを意味します。職場では相談できず、家庭でも口にできない。その結果、退勤後の私的な時間にスマホでAIに打ち明ける——このパターンが定着しつつあります。従来のEAP(従業員支援プログラム)が営業時間内・予約制であることを考えると、24時間・匿名・即時対応のAIチャットが埋めている隙間の大きさが分かります。
3. 「短い問い合わせ」ではない — 平均88分の対話
1回あたりの平均相談時間は約88分、平均やり取り回数は5.4回でした。30分以上の長時間の相談は全体の23.2%を占めています。これは検索やFAQの代替ではなく、「対話を通じて自分の状況を整理する」使われ方が定着していることを示しています。
リピート率は25.9%で、一度利用した人の約4人に1人が再び相談に訪れています。AIチャット相談が一時的な好奇心ではなく、継続的なセルフケアの手段として機能しはじめている兆候です。
4. 50名未満の企業にとっての示唆
大企業であれば、社内カウンセラーの常駐や外部EAPの導入で対応できます。しかし50名未満の企業やフリーランスには、そうした選択肢がほとんどありません。従業員が恋愛や夫婦の悩みで集中力を欠いていても、経営者や管理職が気づく仕組みがないのが現状です。
今回のデータは、「誰にも相談できない層」が確実に存在し、その受け皿としてAIが機能しうることを示しています。当社SMB事業部は、この知見をWorkMindに反映し、小規模事業者と働く人が「話してもいい」と思える入口を提供してまいります。
統計ハイライト
- 年間相談件数:832件(前年度 161件 / 約5.2倍)
- 利用者:328人/リピート率 25.9%
- 恋愛・夫婦関連の割合:全体の74.3%
- 相談のピーク時間帯:21時台(退勤後)
- 深夜帯(22時〜翌4時台)利用割合:25.0%
- 平均相談時間:約88分/平均やり取り回数 5.4回
取締役 江原和比己 コメント
今回のデータで私が最も注目しているのは、相談の7割超が恋愛・夫婦の悩みで、そのピークが21時台だったという事実です。これは「メンタルヘルス=職場の問題」という従来の枠組みでは捉えきれない現実を示しています。
従業員の悩みは、職場だけで完結しません。恋愛や夫婦関係のストレスは、翌朝そのまま出勤カバンに入って職場に持ち込まれます。しかし、上司に「パートナーとうまくいっていない」と相談する人はまずいません。ストレスチェックでも、この種の悩みは検出できません。結果として、企業は従業員の本当のコンディションを把握できないまま、生産性の低下や突然の離職に直面することになります。
WorkMindでは、AIチャット相談を「職場では拾えない悩みの一次受容」として位置づけ、必要に応じて専門家の支援に接続する設計を進めています。働く人の小さな一歩を応援する——その入口は、職場の中だけにある必要はないと考えています。
※ 江原 和比己(えはら かずひこ) — 東京メンタルヘルス株式会社 取締役/産業カウンセラー/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。AIを活用したメンタルヘルス支援の社会実装に取り組む。