社内に相談窓口を置いても、受け付けるのは多くの場合、平日の就業時間です。けれども、仕事を終えた夜や休みの日に、誰かに話したくなる悩みもあります。
当社では、恋愛と夫婦の悩みを受け付ける無料のAIチャット相談をLINEで運営しています。その2026年度上半期(4〜9月)の利用実績を分析しました。相談839件の始まる時刻は、1週間を通してほぼ均等に散らばり、4件に3件は平日の9〜17時台以外に始まっていました。
職場では話しにくい悩みを受け止める場として、働く人のための職場メンタルヘルスサービス「WorkMind」でも、AIチャット相談の窓口を用意しています。
データの背景
このデータは、当社「恋愛と夫婦の悩み相談センター」が運営する、LINEで使える無料AIチャット相談の記録です。WorkMindの窓口とは別のサービスで、恋愛や夫婦の相談窓口ですが、相談カテゴリには「職場の悩み」もあります。
相談する人の年代は10代から60代以上まで幅があります。ただし職業や雇用形態はデータに含まれないため、そのうちどれだけが働く人かは分かりません。
上半期の相談は839件で、前年同期(334件)の2.5倍でした。利用者は329人(前年同期126人)で、相談件数は6か月とも前年の同じ月を上回っています。
- 集計期間:2026年4月1日〜2026年9月30日(2026年度上半期)
- 比較対象:2025年度上半期(前年同期)
- 集計対象:相談839件(重複を除いた利用者は329人)
- 相談1件の数え方:同じ利用者の同じ日(0時〜24時)のやり取りをまとめて1件と数えています
- 前年との比較の範囲:2026年4月に、AIの応答の仕組みと相談内容の分類のしかたを見直しました。このため前年と比べているのは、相談件数・利用者数・相談が始まった時刻だけです
- 出典:東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部(恋愛と夫婦の悩みAIチャット相談 利用実績データより集計)
1. 相談が始まる時刻は、1週間を通して散らばっている
上半期の相談839件のうち、平日(月〜金)の9時〜17時台(9時00分〜17時59分)に始まったのは205件(24.4%)でした。残りの634件(75.6%)は、平日の夜や早朝、土日に始まっています。前年同期は71.3%でした。祝日は平日と区別していません。
平日の9時〜17時台は、1週間の168時間のうち45時間(26.8%)にあたります。相談がこの時間に始まった割合(24.4%)は、時間の長さの割合とほぼ同じです。相談は平日の日中に集まっているわけではなく、どの時間にも同じくらい始まっています。
22時〜翌4時台に始まった相談は28.0%(235件)で、前年同期の26.3%とほぼ同じでした。時間帯ごとに見ると前年と違いがあり、22時〜0時台が23.4%から18.0%に下がり、1〜5時台が3.6%(12件)から13.0%(109件)に上がっています。
ただし、日をまたいで続いた相談は、0時を過ぎた最初の発言から別の1件として数えています。前日の夜から続くやり取りが多いほど、深夜から明け方に始まる件数が増えて見えます。1〜5時台の増え方は、この数え方の影響を含んでいる可能性があります。
2. 1件の中でやり取りが続く——平均11.9回
1件あたりのやり取りは平均11.9回で、30分を超える相談が45.4%(381件)ありました。1回のやり取りで終わった相談は10.1%(85件)で、ほとんどの相談は何度もやり取りを重ねています。
期間内に2件以上の相談をした利用者は33.7%(111人)でした。相談の長さは、2026年4月に仕組みを見直したため、前年とは比べていません。
3. 「職場の悩み」として来る相談は少ない
恋愛と夫婦の悩みを受け付ける窓口なので、相談の多くはその2つで、合わせて654件でした。それ以外では「心身の健康」が77件(9.2%)で最も多く、「家族・親子の悩み」が33件(3.9%)、「職場の悩み」が23件(2.7%)でした。
恋愛や家族、体調の悩みは「職場の悩み」という形を取らないので、職場からは見えにくい悩みです。それでも、眠れない日が続けば、仕事ぶりに表れることがあります。このデータからは、こうした悩みが職場でどこまで話されているかは分かりません。
4. 社員の少ない会社にとって——就業時間の外にも相談先を
この窓口は恋愛と夫婦の悩みを受け付けるもので、職場向けではありません。ただ、相談はどの時間にも始まり、1件の中で何度もやり取りが続いていました。
50名未満の事業場には産業医の選任義務がなく、地域産業保健センターに無料で相談できるものの、自社の事情を知る決まった専門職は、制度の上では置かれていません。社内の窓口とは別に、就業時間の外にも使える相談先を用意しておくことには意味があると、当社は見ています。WorkMindのAIチャット相談は24時間使え、まず話を受け止める役割——一次受容——を担います。
統計ハイライト
| 項目 | 2026年度上半期 | 2025年度上半期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 平日の9〜17時台以外に始まった相談の割合 | 75.6%(634件) | 71.3%(238件) | 4.3ポイント増 |
| 深夜帯(22時〜翌4時台)の割合 | 28.0%(235件) | 26.3%(88件) | 1.7ポイント増 |
| 相談件数 | 839件 | 334件 | 2.5倍 |
| 利用者数 | 329人 | 126人 | 2.6倍 |
やり取りは平均11.9回、30分を超えた相談は45.4%(381件)でした(前年とは比べていません)。
取締役 江原和比己 コメント
相談が始まる時刻は、1週間を通してほぼ均等に散らばっていました。悩みを誰かに話したくなる時間は、平日の日中に限られないのだと感じています。社内に相談窓口を置いても、開いているのが就業時間だけでは、夜や休みの日に話したい人には届きません。
恋愛や夫婦、家族の悩みは、職場では話題にしにくいと、相談を受けてきて感じています。職場からは見えにくい悩みでも、眠れない夜が続けば、翌日の仕事に表れることがあります。ストレスチェックで不調に気づけても、その原因が職場の外の悩みにあるのかまでは、つかみにくいと考えています。
WorkMindでは、AIチャット相談を、まず話を受け止める一次受容の窓口として置いています。そこで終わらせず、必要なときには人とのつながりに戻れるようにしたい。働く人が「ここなら話してもいい」と思える場所を増やし、話してみようという小さな一歩を応援していきたいと考えています。
※ 江原 和比己(えはら かずひこ)——東京メンタルヘルス株式会社 取締役/産業カウンセラー/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。AIを活用したメンタルヘルス支援の社会実装に取り組む。