統計で見る職場のメンタルヘルス

職場のストレスに関する統計 — 50人未満の事業所で何が違うか

強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者は67.5%で、事業所規模10〜49人でも66.2%とほとんど変わりません。何にストレスを感じているかは規模によって違い、厚生労働省の公的統計をもとにその中身をまとめています。

江原 和比己(東京メンタルヘルス株式会社 取締役/産業カウンセラー)

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この記事の要点

  • 強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者は67.5%。事業所規模10〜49人では66.2%で、全体とほとんど変わらない
  • 内容の上位は「仕事の量」39.5%と「仕事の失敗、責任の発生等」39.5%、次いで「対人関係」32.9%。強いストレスと感じる事柄がある労働者を100とした割合
  • 10〜49人の事業所では「会社の将来性」27.4%、「顧客、取引先等からのクレーム」27.5%が全体(20.5%・22.1%)より高く、「仕事の質」23.8%は全体30.7%より低い
  • この設問は令和6年調査で形式が変わっており、それ以前の調査の数値とは同じ基準で並べられない

現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者の割合は67.5%です。厚生労働省の令和7年「労働安全衛生調査(実態調査)」の数字で、前年の調査では68.3%でした。なお、この設問は令和6年調査で形式が変わっているため、それ以前の調査の数値とは同じ基準で並べられません。

事業所規模10〜49人に絞っても66.2%で、全体とほとんど変わりません。規模によって変わるのは、その中身です。

この調査が対象にしているのは、常用労働者を10人以上雇っている事業所です。常用労働者には、期間を定めずに雇われている人と、1か月以上の期間を定めて雇われている人が入ります。パートタイムで働く人も、この条件に当てはまれば含まれます。

なお、以下に出てくる「10〜49人」などの区分は、常用労働者に、その事業所が受け入れている派遣労働者を足した人数で分けたものです。常用労働者が40人でも、派遣で15人を受け入れていれば50〜99人の区分に入ります。

感じている人の割合は、10〜49人でも全体とほぼ同じ

強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者の割合(事業所規模別)

強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者の割合(事業所規模別。「うち」の2行は10〜49人の内訳)
事業所規模割合
10〜49人66.2%
 うち30〜49人73.8%
 うち10〜29人63.6%
50〜99人67.3%
100〜299人69.0%
300〜499人72.3%
500〜999人72.4%
1,000人以上63.7%

(厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人票 第1表, 2026年)

10〜49人をさらに分けると、30〜49人が73.8%で、この表の中で最も高くなります。10〜29人は63.6%で、最も低い値です。同じ50人未満の中に最高と最低が並ぶので、人数の多い少ないで割合が決まっているわけではありません。

何にストレスを感じているか

強いストレスと感じる事柄がある労働者に、その内容を主なもの3つ以内で挙げてもらった結果が次のとおりです。分母は全労働者ではなく、強いストレスと感じる事柄があると答えた労働者です。3つまで選べる設問なので、合計は100%を超えます。

内容 割合
仕事の量 39.5%
仕事の失敗、責任の発生等 39.5%
対人関係(セクハラ・パワハラを含む) 32.9%
仕事の質 30.7%
顧客、取引先等からのクレーム 22.1%
会社の将来性 20.5%
役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等) 17.7%
雇用の安定性 7.6%
事故や災害の体験 2.9%
その他の事柄 11.1%

上位は「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」が同率で、次いで「対人関係」です。なお、この調査は各項目が何を指すかを説明していません。「仕事の質」が難しさなのか、進め方の自由度なのか、求められる水準なのかは、答えた人それぞれの受け取り方によります。

50人未満の事業所では、中身が違う

10〜49人の事業所で働く人が挙げたストレスの内容を全体と並べると、差が大きいのは次の3項目です。

全体と10〜49人で差が大きい3項目の割合

強いストレスの内容のうち、全体と事業所規模10〜49人で差が大きい3項目(強いストレスと感じる事柄がある労働者を100とした割合)
内容全体10〜49人
会社の将来性20.5%27.4%
顧客、取引先等からのクレーム22.1%27.5%(10〜29人は33.0%)
仕事の質30.7%23.8%

(厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人票 第1表, 2026年)

「会社の将来性」は全体の20.5%に対して27.4%、「顧客、取引先等からのクレーム」は22.1%に対して27.5%です。クレームは10〜29人に絞ると33.0%まで上がり、全体との差は11ポイント近くになります。逆に「仕事の質」は30.7%に対して23.8%で、7ポイント近く低く出ています。

なお、「仕事の質」が低く出たことを「困っている人が少ない」とは読めません。3つ以内という制限があるため、負担そのものは同じでも、ほかの項目をより強く感じていれば選ばれにくくなります。この調査から言えるのは、主なストレスとして挙げられた頻度が低いという事実までです。

クレームが高く出た区分に自社が当てはまる場合、一人で受けるしかない場面での備えはカスタマーハラスメントに一人で対応するしかないとき — 小規模事業所にできる備えにまとめています。事業主に求められる措置はカスタマーハラスメント対策の義務化と中小企業がすべきことで扱っています。

メンタルヘルス対策を何から始めるかは50人未満の会社のメンタルヘルス対策 — 何から始めればいいかにまとめています。

この数字は、規模と業種を切り分けていない

10〜29人でクレームが33.0%と高いことを、規模だけの問題として読むことはできません。産業別に見ると、複合サービス事業(郵便局や協同組合)で49.6%、卸売業,小売業で44.7%、生活関連サービス業,娯楽業で41.9%と、業種による差のほうが大きく出ています。

「顧客、取引先等からのクレーム」を挙げた労働者の割合(産業別)

「顧客、取引先等からのクレーム」を挙げた労働者の割合(産業別、強いストレスと感じる事柄がある労働者を100とした割合)
産業割合
複合サービス事業49.6%
卸売業,小売業44.7%
生活関連サービス業,娯楽業41.9%
全産業計22.1%

(厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人票 第1表, 2026年)

この調査は事業所規模と産業を別々の軸で集計しており、両方を掛け合わせた表を持ちません。10〜29人の区分にこれらの業種がどれだけ含まれているかは、この統計からは分かりません。同じことは、規模と年齢構成、規模と雇用形態の関係についても言えます。

公的統計から分かるのは、自社がどのあたりに位置しそうかという目安までです。自社の従業員が何を負担に感じているかを知る方法は職場のストレス要因を把握する方法にまとめています。

※ 出典: 厚生労働省「令和7(2025)年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概況」、2026年8月、2026年8月19日閲覧。同調査の個人票 第1表(政府統計の総合窓口 e-Stat 掲載の結果原表)、2026年9月11日閲覧。厚生労働省「令和6(2024)年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概況」、2026年9月11日閲覧。厚生労働省「令和5(2023)年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概況」、2026年9月11日閲覧。令和7年調査の対象期間は原則として令和7年10月31日現在。令和6年の数値と設問形式変更の注記は令和6年調査の概況による。

※ 江原 和比己(えはらかずひこ)—— 東京メンタルヘルス株式会社 取締役/産業カウンセラー/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。AIを活用したメンタルヘルス支援の社会実装に取り組む。

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