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従業員の『見えない悩み』はAIに月181件──関係性7割超、職場の外で広がる悩みの裾野(2026年5月分析)

過去最多の月181件、悩みは関係性から多面へ──50名未満へのストレスチェック義務化を控えた職場の死角

東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部
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ストレスチェックや上司との1on1では把握しづらい「関係性の悩み」は、職場の外でどのように扱われているのか。当社が運営するLINEで使える無料AIチャット相談の2026年5月の利用実績を分析したところ、相談件数は181件と、前月(123件)に続いて2か月連続で月次最高を更新しました。内訳は恋愛・夫婦などの関係性の悩みが全体の71.3%を占める一方、心身の健康や家族・親子、職場の悩みも件数を伸ばし、従業員が抱える悩みの幅が広がっていることが分かりました。2026年5月には、50名未満の事業場へのストレスチェック義務化について、2028年4月の施行とする方針が国の審議会で示されました。働く人のための職場メンタルヘルスサービス「WorkMind」では、こうした傾向を踏まえ、関係性ストレスを含めた一次受容の設計を進めています。

データの背景

本データは、当社「恋愛と夫婦の悩み相談センター」が運営するLINEで使える無料AIチャット相談の利用ログを集計したものです。職場メンタルヘルスを直接対象とした相談窓口ではありませんが、利用者が匿名・無料で持ち込む悩みの内訳・時間帯・対話の長さは、従業員が「会社や上司には話さないが抱えている悩み」の傾向を示す手がかりになります。利用者の年代・職業・雇用形態はデータに含まれないため断定はしませんが、相談の時間帯分布には夜間から日中にかけて相談が広がる動きが見られ、働く時間を持つ層を含む利用が示唆されます。

  • 対象データ:当社「恋愛と夫婦の悩み相談センター」が運営するLINE無料AIチャット相談の利用ログ
  • 集計期間:2026年5月1日〜2026年5月31日
  • 比較対象:2026年4月(前月)
  • 集計対象:相談181件/利用者90人(重複を除いた人数)
  • 出典:東京メンタルヘルス株式会社 SMB事業部(恋愛と夫婦の悩みAIチャット相談 利用実績データより集計)

1. 「見えない悩み」の中心は関係性、ただし裾野が広がる──関係性71.3%

カテゴリの内訳は「恋愛の悩み」93件(51.4%)、「夫婦・パートナーの悩み」36件(19.9%)で、両者合わせて全体の71.3%を占めました。次いで「心身の健康」18件(9.9%)、「その他」12件(6.6%)、「家族・親子の悩み」9件(5.0%)、「職場の悩み」7件(3.9%)、「婚活・出会いの悩み」6件(3.3%)と続きます。前月は関係性が83.7%を占めましたが、これは関係性が減ったためではありません。恋愛は70件から93件、夫婦は33件から36件へといずれも実数を伸ばしたうえで、心身の健康(前月5件)、家族・親子(同4件)、職場(同2件)といった他カテゴリが大きく増えた結果です。職場で開示しにくい関係性が「見えない悩み」の中心である構図は変わらない一方、従業員が抱える悩みは関係性だけに閉じない、多面的なものへと広がりつつあります。

2. 夜21時台にピーク、日中にも拡大──「持ち帰る悩み」の時間帯

相談の発生時刻は21時台(14件)が月間最多で、19時台・12時台(各13件)、17時台(12件)と、夜だけでなく昼の時間帯にも相談が広がりました。深夜帯(22時〜翌4時)の利用は22.7%(41件)で、前月(30.9%・38件)と比べ件数は上回りつつ、比率としては低下し、利用の中心が一日全体へと分散しています。曜日別では日曜39件、土曜32件、金曜30件と週末に厚みがありつつ、木曜26件・月曜21件・水曜20件と平日にも一定の相談がありました。日中の業務時間から夜間まで幅広い時間帯に相談が分布する動きは、関係性ストレスが特定の時間に限らず、一日のさまざまな隙間で処理されている可能性を示唆しています。

3. 短い相談ではない──平均196分の対話

平均相談時間は約196分、平均ターン数は13.8回でした。1回の相談で30分を超える長時間相談は全体の45.9%(83件)に上り、前月(約142分・11.4回・長時間相談42.3%)からさらに深まっています。一方、1ターンで終了するライトな利用は7.7%(14件)に留まりました。多くの利用者がAIに対し「答えをすぐ返してほしい」検索型ではなく、「話しながら自分の気持ちを整理したい」対話型の使い方を選んでいます。リピート率は32.2%(29人/90人中)で、一度相談した利用者のおよそ3人に1人が再訪している計算です。表層的なやり取りではなく、感情整理・状況の掘り下げまでをセルフケアの一部として担う使われ方が、いっそう定着しつつあります。

4. 50名未満の組織にとっての示唆

2026年5月、労働政策審議会の分科会において、現在は努力義務である50名未満の事業場へのストレスチェックを2028年4月から義務化する方針が示されました。義務化後は1年以内に最初のストレスチェックを完了する必要があるとされています。ただし、その設問は職務ストレスを中心に設計されており、関係性ストレスの可視化は構造上難しい領域です。今回のデータが示す「相談の7割超が恋愛・夫婦」「悩みの幅が心身・家族・職場へと広がる」「ピークは夜の21時台で日中にも分散」「平均196分の対話」という特性は、産業医面談や上司の1on1だけでは到達しづらい層が一定規模で存在することを示しています。匿名・即時・夜間にもアクセスできるAIチャット相談を一次受容として整備し、必要に応じて人間の専門家へ接続する二段構えが、産業保健の体制が手薄になりがちな50名未満の事業場やフリーランス・一人社長にとって、現実的な選択肢になり得ると考えています。

統計ハイライト

  • 5月の相談件数:181件(前月 123件 / 前月比 +47.2%・約1.47倍/2か月連続で月次最高)
  • 関係性の悩みの割合:全体の71.3%(恋愛51.4%+夫婦19.9%)/心身・家族・職場も件数を拡大
  • 相談ピーク時間帯:21時台 14件/深夜帯(22時〜翌4時)22.7%(41件・前月38件)、利用は日中にも分散
  • 平均相談時間:約196分/平均ターン数 13.8回/長時間相談(30分超)45.9%(83件)
  • 利用者:90人/リピート率 32.2%(29人)

取締役 江原和比己 コメント

5月の181件は、前月に続く2か月連続の最高更新となりました。私が注目しているのは件数よりも、悩みの幅が広がっている点です。関係性の悩みが中心であることは変わりませんが、5月は心身の健康や家族・親子、職場の悩みも件数を伸ばしました。職場では開示しづらい悩みが、匿名で即時に扱える場所に持ち込まれ、その裾野が広がっているのではないかと見ています。

関係性の悩みは業務パフォーマンスに影響しやすい一方、ストレスチェックや上司の1on1では本人が言葉にしづらい領域です。2028年に予定される50名未満の事業場へのストレスチェック義務化を見据えると、設問で拾いにくい関係性ストレスを補ううえでも、AIで一次受容し、必要に応じて人間カウンセラーへ接続する二段構えは、産業保健の体制が手薄になりがちな小さな組織やフリーランス・一人社長にとって現実的だと考えています。

働く人のための職場メンタルヘルスサービス「WorkMind」では、こうした傾向をAIチャット相談・人間カウンセラー相談・組織支援の設計に反映させていきたいと考えています。働く人が「話してもいい」と思える入口を、職場の内側だけでなく外側にも増やし、その小さな一歩を応援していきたいと考えています。

※ 江原 和比己(えはら かずひこ)──東京メンタルヘルス株式会社 取締役/産業カウンセラー/日本ブリーフサイコセラピー学会 正会員。IT領域で約25年のキャリアを経て産業カウンセラーに転身。AIを活用したメンタルヘルス支援の社会実装に取り組む。

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